2020.02.06

絶対にやってはいけない!会社を滅ぼす『粉飾決算』

ニュースなどでよく耳にする『粉飾決算』という言葉。
一言でいうと、不正な会計処理によって経営状態を実際よりもよく見せることを指します。
粉飾決算に絡んだ事件としては、経営陣主導のもと総額1,500億円以上もの利益が水増し計上されていた東芝事件や、世間を大きく騒がせたライブドア事件などがあげられます。
粉飾決算には厳しい罰則が課せられることがあるにもかかわらず、企業はなぜ粉飾決算を行ってしまうのでしょうか。 その理由を説明していきます。

粉飾決算をしてしまう会社の事情

企業の経理担当者は、貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書など、いわゆる決算書を作成し、会社の経営状況や財務状況を明確にしていきます。
これらの書類は、経営陣が会社の状況を把握するだけではなく、確定申告や、株主への報告、さらには金融機関の融資審査などに使用されます。

この決算書を操作して、会社が利益を上げたように見せかけるのが粉飾決算です。
では、なぜ企業は粉飾決算に手を染めてしまうのでしょうか。

上場している大企業であれば、株主への対応のために手を染めるケースが少なくありません。
大企業は経営状態や財務状態を株主に報告しなければなりませんし、常に成長を求められます。
経営状態が悪いと、株主の突き上げも激しくなり、経営陣の退陣を要求されるという事態を引き起こしかねません。
そのため、会社の経営状態を少しでもよく見せようと、粉飾決算を行ってしまうのです。

一方、中小企業は、銀行などの金融機関から融資してもらうために、粉飾決算を行うケースが多く見られます。
中小企業の多くは経営者自身が株主でもあるので、上場企業のような株主によるプレッシャーはありません。
しかし、銀行などの金融機関への対応は必要です。
会社の経営状態が悪くなると、借り入れの条件も厳しくなりますし、ましてや赤字の企業にはお金を貸してくれません。
中小企業は上場企業とは異なり、資金調達の方法が限られているため、金融機関からの借り入れは生命線になります。
お金を借りることがむずかしいと予想されるとき、苦肉の策として、経営状態をよく見せるために粉飾決算に手を染めてしまう企業があるというわけです。

粉飾決算を行うと利益が上がったように見えるため、そのぶん税金も高くなってしまいます。
しかし、それと引き換えにしても、株主や金融機関への体裁を保つために粉飾決算を行ってしまう企業が後を絶ちません。

粉飾決算の具体的な手口とは?

粉飾決算の具体例としては、次のようなものがあります。

●売上を操作する
(例)次の期の売上を前倒しで計上したり、架空の売上を計上したりする。

●経費を操作する
(例)本来なら、その期に計上するはずだった経費を次の期に繰り越したり、接待費や出張旅費などの支払い済みの経費を仮払金や貸付金に振り替えたりして、その経費分、収益を水増しする。

いずれにせよ、売上か経費をごまかすしか方法はありません。
粉飾決算を行う企業は、このどちらか一方、もしくは両方の方法で決算書を操作しているというわけです。

一度手を染めると常習化しやすい

もちろん、粉飾決算は会社にとって大きなリスクです。
不正な会計処理を行うことによって配当可能利益がないにもかかわらず原資があるように見せ、株主に配当金を配ることを『蛸配当(たこはいとう)』といいますが、これを行うと、経営陣が民事責任に問われるばかりか、会社法963条の『会社財産を危うくする罪』に該当し、5年以下の懲役もしくは 500万円以下の罰金が科されます。
ほかにも、決算書に虚偽の記載をしたことによって第三者に損害を与えたときは、その損害を賠償しなければいけません。

また、粉飾決算を一度行ってしまうと、どこかで帳尻を合わそうとして、経営に無理が出始めます。
たとえば、500万円の赤字を埋めるために、1,000万円の粉飾決算を行った場合、どこかでこの1,000万円を取り戻さなければいけません。
当然、容易ではないため、この1,000万円の帳尻を合わすためにさらなる粉飾決算に手を染めることになります。
その結果、不正会計が常習化してしまい、最終的に自分の会社なのに経営状態がまったくわからないという事態に陥るケースもあります。 なかには、赤字なのか黒字なのかすらもわからなくなってしまった会社もあります。

そして、粉飾決算は多くの場合、借り入れしている金融機関に気づかれてしまいます。
売掛金、在庫数、買掛金・未払金などの勘定項目を注意深くチェックすると、必ずおかしなポイントや、つじつまの合わない箇所が出てくるので、思った以上に簡単に発覚してしまうのです。
そうなると、新規の融資は不可能になりますし、これまでの融資金の一括返済を求められることもあります。

粉飾決算は会社にとってデメリットしかありません。
ちょっとした出来心で行ったことが、自社を滅ぼすことにもなりかねません。
会社の運営には苦難がつきものですが、それでも悪事には手を染めないことが賢明です。