2019.02.21

『企業版ふるさと納税』でどれくらい節税ができる?

地方の活力維持に伴う、地方創生の一環として、自身の故郷や応援したい自治体に寄付する『ふるさと納税』。
寄付した側が所得税や住民税の還付や控除が受けられる上に、返礼品がもらえるとあって、2018年度には、295万人以上がこの制度を利用し、寄付額の合計は3,481億円を突破しました。
この大人気の『ふるさと納税』に『企業版』があるのはご存知でしょうか。
今回は、2016年度の税制改正によってスタートした『企業版ふるさと納税』について、ご紹介します。

『個人版』と『企業版』の違いとは?

『企業版ふるさと納税』とは、正式には『地方創生応援税制』といいます。
「地方創生を応援する」という根本的な考え方は、個人版のふるさと納税と変わりありません。
『個人版』では、寄付額の大部分が控除されますが、『企業版ふるさと納税』でも、法人住民税、法人税、法人事業税から一定の割合が寄付額から控除されます。

『企業版ふるさと納税』が創設される以前は、企業の地方自治体への寄付は、損金算入として、寄付額に対して約3割の税の軽減効果がありました。
その後、『企業版ふるさと納税』がスタートすると、そこからさらに寄付額の最大3割が控除されることになりました。
つまり、寄付額の最大6割もの税負担が軽減されることになったのです。

税額控除の詳細は以下のとおりです。

①法人住民税
寄附額の2割を税額控除(法人住民税法人割額の20%が上限)
②法人税
法人住民税の控除額が寄附額の2割に達しない場合、寄附額の2割に相当する額から法人住民税の控除額を差し引いた額を控除(寄附額の1割、法人税額の5%が上限)
③法人事業税
寄附額の1割を税額控除(法人事業税額の20%が上限、ただし、平成29年度の地方法人特別税廃止後は15%)

また、『企業版ふるさと納税』は、地域創生の計画を立て、国がその地域創生事業を認定している自治体に限ります。
認定された地域創生事業に関しては、内閣府や地方自治体のHPなどで発表されています。
企業においては、その自治体の地域創生事業に賛同できると思ったり、もしくは、地方公共団体から寄付の申し入れがあったりした場合に、検討したうえで寄付を行えばいいわけです。

『企業版ふるさと納税』を行う際の注意点

地方を応援し、社会貢献を対外的に大きくアピールできるのは、企業のイメージアップにもつながります。
現在、多くの企業がこの『企業版ふるさと納税』を行っていますが、いくつか注意点もあります。

まず、『企業版ふるさと納税』には、個人版のような返礼品はありません。
寄付を行うことの代償として、地方自治体から利益を受け取ることは禁止されています。
具体的には、入札等で便宜を図ったり、有利な利率で融資を行う等が当てはまります。
また、寄付の払い込みについては、地方公共団体が創生事業を実施し、事業費が確定した後に行い、本税制の対象となる寄付は、確定した事業費の範囲内までと定められています。

ほかにも、自分の会社の本社(地方税法における「主たる事務所又は事業所」)がある地方自治体には寄付することができないようになっていたり、寄付は10万円以上に定められていたりと、留意しなければいけない点はいくつかあります。
活用する前に、ポータルサイトでチェックしたり、専門家からアドバイスを受けたりするなどして、正しい知識を得ておくことが大切です。

平成30年の地方自治体の創生事業と寄付事例

2018年も多くの地方自治体で、さまざまな創生事業が計画され、企業から多額の寄付金が集まりました。

たとえば、2013年に世界農業遺産に認定された国東半島宇佐地域に属する大分県の杵築(きつき)市は、平成30年から31年にかけて、“「世界農業遺産の里」が育む医薬生産基盤確立プロジェクト”と題し、事業費2,400万円をかけた創生事業を計画しました。
この計画は、薬用植物の国内栽培化に向けた種苗の育成・増産を図るために、廃校となった農業高校跡地を利用し、薬用植物の種苗増産のための設備投資を行うというもので、同時に、薬用植物以外の野菜の種苗を生産・出荷する体制を構築するという目的があります。
この計画に寄付を行ったのが、のど飴などでおなじみの、東京に本社を置く製薬会社『龍角散』でした。
薬用植物の国内栽培による安定供給を望む龍角散側が、杵築市の創生事業に賛同し、今回の寄付に至ったというわけです。

このように、今、多くの企業から注目を集めている『企業版ふるさと納税』。
税金が控除されるという大きなメリットがあるうえに、社会貢献を行うことによる会社のイメージアップにもつながります。
自社の事業に合致する地方自治体の創生事業を応援することは、将来的に大きなリターンとなることも考えられます。 活用を検討してみてはいかがでしょうか。