2019.01.10

開業後2年間は消費者免除となる『事業者免税点制度』とは?

新規開業した個人事業主及び法人を対象に、開業後2年間は消費税の納税が免除される『事業者免税点制度』。
この制度が、個人事業主で先代から事業を引き継いだ後継者に対しても適用され、2016年までの3年間で210人が免税となっていることが会計検査院の調査でわかり、問題視されています。 本来、『事業者免税点制度』は開業する際の税負担を考慮して設けられているものです。
そこで、正しい知識を持って利用していくために、制度の内容をご説明します。

『事業者免税点制度』の概要と適用条件は?

事業主は、消費税を納税する義務がありますが、開業したばかりの頃は、税負担が経営を圧迫するという懸念から、『事業者免税点制度』という制度が設けられています。

『事業者免税点制度』とは、開業から2年間は消費税を納める義務が免除される制度のことで、適用されるにはいくつかの条件があります。
まず、新規開業した法人について、原則的に設立時の資本金が1,000万円以下であれば、そこから2年間は消費税が免除されますが、資本金が1,000万円を超えてしまうと、『事業者免税点制度』は適用されずに、課税事業者として、消費税を納税しなければいけません。
また、すでに開業している場合でも、2年前の“基準期間”における課税売上高が1,000万円以下である者については原則にかかわらず、その課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れにつき消費税の納税義務が免除されます。
“基準期間”は、個人事業主と法人とでは微妙に異なります。
個人事業主の場合は、その年の前々年(2年前)が基準期間になり、法人の場合は、その事業年度の前々事業年度(2年度前)が基準期間となります。

ただし、個人事業者であれば、その年の前年の1月1日から6月30日までの期間、法人であればその事業年度の前事業年度開始の日以後6月の期間における課税売上高あるいは従業員への支払給与総額が1,000万円を超える場合又は課税事業者を選択している場合には、『事業者免税点制度』は適用されません。
その際の基準は、課税売上高か支払給与総額か、どちらか有利なほうを事業者が選ぶことができます。
たとえば、支払給与総額が1,000万円を超えていて、課税売上高が1,000万円以下だった場合は、課税売上高の基準を選択し、『事業者免税点制度』を適用させることができるというわけです。

事業承継でなぜ『事業者免税点制度』が適用される?

今回、会計検査院の調査で問題視されたのは、家業を承継した場合の『事業者免税点制度』の取り扱いについてでした。
先代から次の世代が家業を継ぐ場合は、『廃業届』と『開業届』を提出する必要がありますが、この『開業届』をいわゆる“新規参入の届け”と同一に扱っていたことがわかりました。

会計検査院が、2014年に先代から事業を引き継ぐために『開業届』を提出した個人事業主らを調査したところ、収入状況を把握できた212人全員が『廃業届』を出した翌日に『開業届』を提出。
その大半が先代の頃から何らかの形で事業に関わっており、収入も先代と同規模だったことが判明しました。

先代から事業を引き継ぎ、ほぼ同じ事業をしているにもかかわらず、新規参入者と同じ『事業者免税点制度』が適用され、消費税が免除されていたことについて、検査院は「制度の趣旨に反する」としています。

家業を承継する場合は、『事業承継税制』など、贈与税・相続税の納税が猶予される制度もありますので、適切な制度を利用することが重要です。
これから事業を起こす人も、『事業者免税点制度』のより詳しい利用法など、正しい知識を持って進めていく必要があります。