2019.01.04

もしも災害で備品が壊れたら? 法人における『災害損失』

地震や火災などの災害で会社の備品が壊れた場合、その修繕費や補填費用、事後処理費などは会計上、『災害損失』に含まれます。
災害損失は、その事業年度の損金に算入できるものですが、それには細かな条件が設定されています。
今回は、不測の事態が起きた際の災害損失について、ご紹介します。

『災害損失』に含まれるものと、損金の範囲

災害損失とは、企業の通常経営では起こることのない例外的な損失である『特別損失』のうち、火災や地震、風水害、盗難などの災害による損失を言います。
災害損失には、商品、店舗や事務所などの資産の損失額だけではなく、資産が壊れたときに出た廃材、土砂、その他の障害物の撤去費用、店舗や事務所などを元の状態に回復するための修繕費用なども含まれます。

『災害損失』の損失額はその事業年度の損金に算入できますが、被害の状況や、資産が固定資産なのか繰延資産なのかによって、損金に算入できる金額が変わります。 ここでは、資産の評価額や、復旧に関する費用の区分についてご紹介します。

まず、災害による被害を受けた商品、店舗や事務所などの固定資産は『被災資産』として扱われ、その時点での評価額が災害前に記してあった『帳簿価額』を下回るようであれば、差額を損金経理により、評価損を計上して損金に算入することができます。

また、被災資産を原状回復するための費用は、修繕費として全額を損金に算入できます。
つまり、店舗や事務所を元に戻すためのコストは、その年度の税負担を軽減することになります。
ただし、原状回復に伴って付加価値をつける修繕を行った場合、その支出額が20万円以上の場合、損金に算入できない可能性があります。
たとえば、店舗が半壊してしまい、原状回復のついでに元々平屋建てだった店舗を2階建てにした場合は、原状回復に要する費用自体は修繕費として損金に算入できますが、“2階建てにする”という資産価値を高めるための支出部分については、その支出額が20万円以上の場合、資本的支出に該当するため、損金に算入できません。
なお、支出区分が明確か否かで異なる取り扱いとなる可能性がありますので、注意が必要となります。

資金やその後の展開にもよりますが、災害に遭って店舗などの固定資産を復旧させる場合は、あくまで原状回復を目的として復旧計画を立てたほうがよいでしょう。

大災害時のための『災害損失特別勘定』と『災害損失欠損金』

大きな災害が起きた場合、商品や店舗などの修繕にはかなりの時間がかかることが予想されます。
この場合、前述の『被災資産』の評価額の差額による損失額は、その災害の起きた事業年度の損金に算入できますが、『被災資産』の原状回復にかかった修繕費は、その事業年度の損金に算入できなくなる可能性があります。
必ずしも災害の起きたその日にすぐ修繕を行えるわけではなく、基本的に修繕が完了した段階でしか、正確な金額がわからないためです。

このような損金に算入できる時期のズレを避けるため、未確定の修繕費について『災害損失特別勘定』を設定することで同時期に損金に算入できるようにしています。
『被災資産』の修繕にかかる費用に関して、災害のあった日から1年以内に支出するもののうち、金額が適正に見込まれるものについては、損金経理により『災害損失特別勘定』に繰り入れることができ、事業年度をまたぐ可能性があっても、災害の起きた事業年度の損金に算入することができるというものです。
ただし、実際に事業年度をまたいで修繕が終わり、最終的な修繕費が『災害損失特別勘定』に繰り入れた金額よりも少なかった場合、繰り入れた金額と修繕費との差額を益金に算入する必要があります。

さらに、各事業年度において赤字となった場合のその赤字のうち、『被災資産』の損失額を『災害損失欠損金』と呼び、生じた事業年度から最大で10年間繰り越すことができ、その後の事業年度の所得から控除することができます。
また、災害の起きた事業年度の前年度に法人税額を納付していた場合には、その納付税額のうち『災害損失欠損金額』に対応する部分の金額に関して、還付を受けることもできます。
この場合、災害の起きた事業年度の確定申告とともに、欠損金額も『還付請求書』を提出する必要があります。
なお、還付を受けた場合、還付金額計算の基礎となった『災害損失欠損金』は繰り越すことができません。

災害損失に関する制度は、知らないと損をすることがあり、その構造は複雑です。
災害はいつ起きるかわかりません。
もし、被災してしまったら、個人で判断せず、専門家の判断なども仰ぎながら、的確な処理をしていくことが大切です。